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澱の中の二人 1-2

「始めろ」

 俺は椅子から立ち上がり、ぶっきらぼうに命じた。

 伊織は表情を変えず、澱んだ瞳のまま俺の足元に跪く。そして、慣れきった手つきでチャックを下ろし、俺の一物を器用に引きずりだした。既に限界まで膨れ上がった肉棒が、伊織の冷たい右手に包まれる。だが、彼女が何度か掌を往復させると、互いの体温が混ざり合い、冷たさはあっけなく消失してしまう。

 俺はこの瞬間がたまらなく好きだった。
 どす黒い欲望が染みこみ、浸食し、彼女を汚しているような気分になるからだ。

 しばし感触を確かめるように、伊織は軽く肉棒を扱く。赤黒く充血した肉塊はピンと反り返り、生白い手の動きに合わせてゆらゆらと揺れていた。その剥き出しの欲望に怯むことなく、伊織は淡々と手の動きを加速させていく。

 柔らかな掌が円を描くように亀頭を擦る。滑らかな指先が肉茎を軽く扱いたかと思えば、一転、根元から裏筋をそっとなぞり上げたり、亀頭の裏側をコリコリと押し込むように刺激したりと、技巧の限りを尽くして俺を悦ばせようと奮戦していた。

 俺は快楽に酔いしれ、己の欲棒をいっそう熱く滾らせる。
 伊織の技倆もさることながら、精神的な充足感、高揚感は計り知れないものがあった。

 一人の女を意のままに操り、服従させているという現実。これを快楽と呼ばずして何と呼ぼうか。

「いいぞ、伊織。その調子で続けろ」

 俺は横柄に告げた。
 制服姿の少女は返事を寄越すどころか、表情を変えることさえせず、淡々と俺への奉仕を続けている。

 伊織は常に必要最小限の言葉しか口に出さないし、感情を表に出そうともしない。目を合わせることさえ頑なに避けようとしていた。終日会話がなく、一度も視線が交わらないことさえあったくらいだ。

 奴隷にあるまじき生意気な態度であるが、むしろ俺は、このささやかな抵抗を好ましいとさえ思っていた。平静を装う女を屈服させ、無様に顔を歪ませる悦びを味わえるのだ、泣き喚くだけの女を相手にするより、よっぽど陵辱のしがいがあるというものだろう。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、伊織は口唇を真一文字に結び、一心に陰茎を擦り続ける。
 太腿に置かれた左手は、爪が食い込むほど強く固く握り締められていた。

 その健気な仕草に、俺は密かにほくそ笑んだ。

テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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