ある露出狂の記録 1-5
至悦の痙攣は十数秒ほども続いただろうか。
その後、ようやく我に返った亜梨紗は、今さらながら羞恥に体を震わせていた。
(イッちゃった……私、公園で……こんな格好で、お漏らしまでして……)
暗がりでは判然としなかったが、足元のベンチには間違いなく、卑猥な水溜りができていることだろう。
普段、人々が腰を下ろすその場所に、亜梨紗の吹きこぼした淫汁が、しっかりと染みこんでしまうのである。
(こんなことして、私……最低の変態だわ……)
公園で遊ぶ親子連れが、学校帰りの少年たちが、このいやらしい染みに尻を付け、手を触れる。彼らは何一つ知らぬまま、清らかな肌を亜梨紗の痕跡で汚してしまうのだ。
そのことに想いを馳せるだけで、亜梨紗の肉体は熱く火照り、どうしようもなく疼き出すのだった。
(ああもうダメ、限界)
亜梨紗を辛うじて抑えつけていた理性が、ぶちぶちと音を立てて切れていく。
この程度では、たった一度だけでは、とても満足できない。
焼けつくような刺激が欲しい。
泥のような快楽に浸りたい。
もっと、過激に――
膨らみ続ける欲望に衝き動かされ、亜梨紗はよろめきながらベンチを下りる。
そして、公園の真ん中へ、ゆったりとした足取りで歩を進めた。
(こんなの、絶対ヤバいって……本当に私、誰かに見られちゃうかも……)
理性の残り火がしきりに警告を発している。
だが、亜梨紗の肉欲は鎮まるどころか、よりいっそう激しく燃えさかる始末だった。
右手は自然と股間に伸び、じゅくじゅくに熟れた秘裂を撫で回してしまう。
「ふぅっ……ん、はぁっ……」
甘ったるい吐息が漏れる。昂ぶり続ける興奮で、心臓が締め付けられるようだった。
じっとりと汗ばんでくる肌。全身の慄えが止まらない。体の奥から込み上げてくる、悪寒にも似た粟立ちに、亜梨紗は身悶えしながら歩を進めた。
そして、すべり台の手前で足を止める。
亜梨紗の背よりも少し高い程度の、ごくありふれた遊具の前で、亜梨紗はごくりと喉を鳴らした。
(……私、どうかしてるのかも)
自嘲気味に笑った亜梨紗は、大胆にも、その場でコートを脱ぎ捨ててしまった。
月明かりに照らされ、均整の取れた肢体がぼんやりと浮かび上がる。
引き締まった太腿や二の腕、くびれたウエストや張りのいいヒップ、どれも同性が羨んでやまない、抜群のスタイルを誇っている。
唯一、亜梨紗がコンプレックスを感じているのは、少々慎ましやかに過ぎる胸部の膨らみであった。少しゆったりめの服を着れば、たちまち目立たなくなる程度のサイズでしかなく、ブラジャーの必要性さえ感じないくらいである。
もっとも、ピンと尖った乳首は感度が良すぎるほどであり、本当に下着を着けずにいたら大変なことになる。服の布地で擦られ続け、いやらしい突起が浮かび上がってしまうばかりか、快感に体を侵食され、あっという間に股間がドロドロになってしまうのだ。
(これじゃ足りない……もっと、もっと気持ちよくなりたい……!)
コートを梯子に掛け、亜梨紗はすべり台の上に昇っていく。
さらに大胆に、過激に、貪欲に――歯止めの効かなくなった亜梨紗は、ただひたすら、己の欲望に衝き動かされていた。
(やっちゃった……私、全裸ですべり台に乗って……)
闇に紛れた少女は、すべり台の上でしゃがみ込み、興奮にその身を慄わせていた。いっそ堂々と立ち上がってしまいたかったが、あまりの興奮に足元がふらつき、とても立ったままではいられまい。
「んっ、あっ、くぅぅ……んっ、んんっ、ふあぁぁっ……!」
秘裂に添えられた右手は、もはやいささかの躊躇もなく、ガリガリと陰核を掻き毟っていた。
「あぁっ、んふぅっ……ひっ、あ、イっちゃ、う……あた、し、もうっ……!」
甘ったるい喘ぎ声が抑えられない。
いや、抑えようという理性さえ、とうに吹き飛んでいた。
「見て、見てっ……亜梨紗の、いやらしいとこ、全部っ……!」
びちゃびちゃと水音を鳴らしながら、亜梨紗は夢中になって快楽を貪っていた。
その後、ようやく我に返った亜梨紗は、今さらながら羞恥に体を震わせていた。
(イッちゃった……私、公園で……こんな格好で、お漏らしまでして……)
暗がりでは判然としなかったが、足元のベンチには間違いなく、卑猥な水溜りができていることだろう。
普段、人々が腰を下ろすその場所に、亜梨紗の吹きこぼした淫汁が、しっかりと染みこんでしまうのである。
(こんなことして、私……最低の変態だわ……)
公園で遊ぶ親子連れが、学校帰りの少年たちが、このいやらしい染みに尻を付け、手を触れる。彼らは何一つ知らぬまま、清らかな肌を亜梨紗の痕跡で汚してしまうのだ。
そのことに想いを馳せるだけで、亜梨紗の肉体は熱く火照り、どうしようもなく疼き出すのだった。
(ああもうダメ、限界)
亜梨紗を辛うじて抑えつけていた理性が、ぶちぶちと音を立てて切れていく。
この程度では、たった一度だけでは、とても満足できない。
焼けつくような刺激が欲しい。
泥のような快楽に浸りたい。
もっと、過激に――
膨らみ続ける欲望に衝き動かされ、亜梨紗はよろめきながらベンチを下りる。
そして、公園の真ん中へ、ゆったりとした足取りで歩を進めた。
(こんなの、絶対ヤバいって……本当に私、誰かに見られちゃうかも……)
理性の残り火がしきりに警告を発している。
だが、亜梨紗の肉欲は鎮まるどころか、よりいっそう激しく燃えさかる始末だった。
右手は自然と股間に伸び、じゅくじゅくに熟れた秘裂を撫で回してしまう。
「ふぅっ……ん、はぁっ……」
甘ったるい吐息が漏れる。昂ぶり続ける興奮で、心臓が締め付けられるようだった。
じっとりと汗ばんでくる肌。全身の慄えが止まらない。体の奥から込み上げてくる、悪寒にも似た粟立ちに、亜梨紗は身悶えしながら歩を進めた。
そして、すべり台の手前で足を止める。
亜梨紗の背よりも少し高い程度の、ごくありふれた遊具の前で、亜梨紗はごくりと喉を鳴らした。
(……私、どうかしてるのかも)
自嘲気味に笑った亜梨紗は、大胆にも、その場でコートを脱ぎ捨ててしまった。
月明かりに照らされ、均整の取れた肢体がぼんやりと浮かび上がる。
引き締まった太腿や二の腕、くびれたウエストや張りのいいヒップ、どれも同性が羨んでやまない、抜群のスタイルを誇っている。
唯一、亜梨紗がコンプレックスを感じているのは、少々慎ましやかに過ぎる胸部の膨らみであった。少しゆったりめの服を着れば、たちまち目立たなくなる程度のサイズでしかなく、ブラジャーの必要性さえ感じないくらいである。
もっとも、ピンと尖った乳首は感度が良すぎるほどであり、本当に下着を着けずにいたら大変なことになる。服の布地で擦られ続け、いやらしい突起が浮かび上がってしまうばかりか、快感に体を侵食され、あっという間に股間がドロドロになってしまうのだ。
(これじゃ足りない……もっと、もっと気持ちよくなりたい……!)
コートを梯子に掛け、亜梨紗はすべり台の上に昇っていく。
さらに大胆に、過激に、貪欲に――歯止めの効かなくなった亜梨紗は、ただひたすら、己の欲望に衝き動かされていた。
(やっちゃった……私、全裸ですべり台に乗って……)
闇に紛れた少女は、すべり台の上でしゃがみ込み、興奮にその身を慄わせていた。いっそ堂々と立ち上がってしまいたかったが、あまりの興奮に足元がふらつき、とても立ったままではいられまい。
「んっ、あっ、くぅぅ……んっ、んんっ、ふあぁぁっ……!」
秘裂に添えられた右手は、もはやいささかの躊躇もなく、ガリガリと陰核を掻き毟っていた。
「あぁっ、んふぅっ……ひっ、あ、イっちゃ、う……あた、し、もうっ……!」
甘ったるい喘ぎ声が抑えられない。
いや、抑えようという理性さえ、とうに吹き飛んでいた。
「見て、見てっ……亜梨紗の、いやらしいとこ、全部っ……!」
びちゃびちゃと水音を鳴らしながら、亜梨紗は夢中になって快楽を貪っていた。
ある露出狂の記録 1-4
敏感な蕾を容赦なく虐める。
優しく摘んだだけでも、電流が走るかのような鋭い衝撃に襲われるのだ。
さらに激しい責め苦に晒せば、どれほどの悦楽を味わえるのだろうか。
(でも、そうね……摘むのは滑っちゃいそうだし……思いっきり、デコピンみたいにして……)
亜梨紗はさらに自分を追い詰めていく。指で弾くのなら一瞬のこと、無意識のうちに手加減したり、うまく力が加わらずに失敗してしまうこともないだろう。確実に、強烈な一撃が見舞われるに違いなかった。
(そうよ……私の、いやらしいとこ……思いっきり虐めてやるんだから……)
想像するだけで、体の奥から熱い疼きが込み上げてくる。
肥大する性欲に冒された頭は、もはや快楽を追い求めることしか考えられなくなっていた。
亜梨紗はあずまやのベンチに足を乗せると、和式トイレで用を足すときのような姿勢になり、柱に背をつけて寄りかかった。立ったままでは転んでしまいそうだが、直に座るのも気が引ける。かといって、コートを下に敷いたりしたら、いやらしい蜜でびしょびしょに汚れてしまうだろう。
これしか方法がないとはいえ、実にみっともない、変態的な格好だった。
自分でもそう自覚していながら、亜梨紗は大きく足を開き、太腿の内側を正面に向ける。
そして、誰かに見せつけるかのように、腰をグイッと前に突き出した。
「見て、私の恥ずかしいところ……」
亜梨紗は誰にともなく囁く。
もしも、目の前に誰かがいて、一部始終を見られているのだとしたら。
その人は――いや、その人達は亜梨紗の足元に座り込み、真っ赤に腫れあがる恥部をじっと凝視しているのだ。淫らな涎をドロドロと垂れ流す秘裂、いやらしく肥大化した乙女の蕾や、ぴったりと窄まるお尻の穴に至るまで、余すところなく観察されてしまうのだ。
そしてもちろん、これから始まる淫靡な一人舞台も。
目に見えぬ観衆の視線を浴び、亜梨紗は蕩然と体を慄わせた。
(本当に……やっちゃうんだから、私……)
亜梨紗は丸めた中指を親指で抑え、ピンと尖った陰核に向けて構える。
心臓がバクバクと鼓動を刻む。
正直に言えば、恐怖と不安は少なからずあった。そっと触れるだけでも火花が散るような感覚に襲われるというのに、そんな場所を、思いきり、デコピンの要領で弾き飛ばすのだ。どれほどの衝撃が襲い来るのか、亜梨紗にはまるで想像もつかない。
しかし、逡巡はさほど長くは続かなかった。
徐々にせり上がる快楽への渇望が、少しずつ、恐怖と不安を溶かしていく。
(さあ、見て……私のいやらしい姿……全部、見せてあげる……)
亜梨紗はついに意を決し、ゆっくりと息を吐き出すと、慄える指先に力を込める。
そして、丸めた中指を弾き出した。
勢い良く放たれた指は、一直線に蕾へ向かい――
ばちんっ!
「ひっ……ぐ……!!」
凄まじい衝撃が子宮を揺らす。
亜梨紗は声もなく悶絶していた。
「か……はっ……ん、ふ……ぁ……」
弓なりにしなる背中がピンと張り詰め、ときおりガクン、ガクンと引き攣っている。その淫靡な律動に合わせ、半開きの口からはくぐもった呻きが、そして蕩けきった蜜壷からは、さらさらとした液体が間欠泉のように噴出していた。
たったの一撃で、亜梨紗は呆気なく昇り詰めていたのである。
痛みもあったが、それを感じることができたのは、最初のほんの一瞬だけ。直後、痛みを遥かに凌駕する快楽の大波に呑まれ、あらゆる感覚は跡形もなく押し流されていた。
ただ、圧倒的な官能の痺れが、亜梨紗の全身を覆い尽くしている。
口元からこぼれる涎を拭うこともできず、しばらくの間、亜梨紗は完全に放心していたのだった。
優しく摘んだだけでも、電流が走るかのような鋭い衝撃に襲われるのだ。
さらに激しい責め苦に晒せば、どれほどの悦楽を味わえるのだろうか。
(でも、そうね……摘むのは滑っちゃいそうだし……思いっきり、デコピンみたいにして……)
亜梨紗はさらに自分を追い詰めていく。指で弾くのなら一瞬のこと、無意識のうちに手加減したり、うまく力が加わらずに失敗してしまうこともないだろう。確実に、強烈な一撃が見舞われるに違いなかった。
(そうよ……私の、いやらしいとこ……思いっきり虐めてやるんだから……)
想像するだけで、体の奥から熱い疼きが込み上げてくる。
肥大する性欲に冒された頭は、もはや快楽を追い求めることしか考えられなくなっていた。
亜梨紗はあずまやのベンチに足を乗せると、和式トイレで用を足すときのような姿勢になり、柱に背をつけて寄りかかった。立ったままでは転んでしまいそうだが、直に座るのも気が引ける。かといって、コートを下に敷いたりしたら、いやらしい蜜でびしょびしょに汚れてしまうだろう。
これしか方法がないとはいえ、実にみっともない、変態的な格好だった。
自分でもそう自覚していながら、亜梨紗は大きく足を開き、太腿の内側を正面に向ける。
そして、誰かに見せつけるかのように、腰をグイッと前に突き出した。
「見て、私の恥ずかしいところ……」
亜梨紗は誰にともなく囁く。
もしも、目の前に誰かがいて、一部始終を見られているのだとしたら。
その人は――いや、その人達は亜梨紗の足元に座り込み、真っ赤に腫れあがる恥部をじっと凝視しているのだ。淫らな涎をドロドロと垂れ流す秘裂、いやらしく肥大化した乙女の蕾や、ぴったりと窄まるお尻の穴に至るまで、余すところなく観察されてしまうのだ。
そしてもちろん、これから始まる淫靡な一人舞台も。
目に見えぬ観衆の視線を浴び、亜梨紗は蕩然と体を慄わせた。
(本当に……やっちゃうんだから、私……)
亜梨紗は丸めた中指を親指で抑え、ピンと尖った陰核に向けて構える。
心臓がバクバクと鼓動を刻む。
正直に言えば、恐怖と不安は少なからずあった。そっと触れるだけでも火花が散るような感覚に襲われるというのに、そんな場所を、思いきり、デコピンの要領で弾き飛ばすのだ。どれほどの衝撃が襲い来るのか、亜梨紗にはまるで想像もつかない。
しかし、逡巡はさほど長くは続かなかった。
徐々にせり上がる快楽への渇望が、少しずつ、恐怖と不安を溶かしていく。
(さあ、見て……私のいやらしい姿……全部、見せてあげる……)
亜梨紗はついに意を決し、ゆっくりと息を吐き出すと、慄える指先に力を込める。
そして、丸めた中指を弾き出した。
勢い良く放たれた指は、一直線に蕾へ向かい――
ばちんっ!
「ひっ……ぐ……!!」
凄まじい衝撃が子宮を揺らす。
亜梨紗は声もなく悶絶していた。
「か……はっ……ん、ふ……ぁ……」
弓なりにしなる背中がピンと張り詰め、ときおりガクン、ガクンと引き攣っている。その淫靡な律動に合わせ、半開きの口からはくぐもった呻きが、そして蕩けきった蜜壷からは、さらさらとした液体が間欠泉のように噴出していた。
たったの一撃で、亜梨紗は呆気なく昇り詰めていたのである。
痛みもあったが、それを感じることができたのは、最初のほんの一瞬だけ。直後、痛みを遥かに凌駕する快楽の大波に呑まれ、あらゆる感覚は跡形もなく押し流されていた。
ただ、圧倒的な官能の痺れが、亜梨紗の全身を覆い尽くしている。
口元からこぼれる涎を拭うこともできず、しばらくの間、亜梨紗は完全に放心していたのだった。
ある露出狂の記録 1-3
入り組んだ路地を五分ほど進むと、古ぼけたアパートの一群が見えてくる。
亜梨紗が向かっているのはアパートの合間、狭苦しい空間に作られた、小さな児童公園だった。
公園の周囲は金網と街路樹とで囲まれており、道路からの視界が遮られている。この時間、人がいることはまずありえないし、アパートから見下ろされる心配もないだろう。街灯の真下にでも立たない限り、真っ暗な闇が亜梨紗の体を覆い隠してくれるはずだ。
亜梨紗の欲望を満たすには、まさにうってつけの場所なのである。
(ここなら、いくらでも……)
念のため、慎重にあたりの様子を確かめてから、亜梨紗は公園に足を踏み入れた。
昼間は子供たちの喧騒で賑わう公園も、今はひっそりと静まり返っている。いくつかの遊具と砂場、隅には簡素なあずまやがあり、入り口の傍には公衆トイレも設置されている。
興奮は最高潮に達していた。
肌という肌が粟立ち、身悶えしたくなるほどの痺れが全身を包んでいる。湧き上がる衝動が抑えきれない。もし許されるなら、亜梨紗は今すぐ地べたに寝そべり、大声で啼きながら淫らな行為に耽ることだろう。
今はまだ、辛うじて残った理性が、危険な衝動を押しとどめてくれている。しかし、これ以上我慢を続ければ、しまいには理性の箍がはじけ飛び、本当に取り返しの付かない行動に及んでしまいそうだった。
(……もうダメ、我慢できない)
あずまやの陰に身を潜めるや否や、亜梨紗はいそいそとダッフルコートに手を掛けた。
慄える指先で一つ一つ留め木を外していく。
コートの前をはだけると、涼やかな夜風が流れこみ、火照った肌を撫で付けてきた。
小さな胸の膨らみや、引き締まった腹筋、恥丘をうっすらと覆う陰毛、普段は衣服に隠されているはずの場所が、惜しみなく外気にさらけ出される。
(ああ、ヤバい……これだけでイッちゃいそう……)
途方もない開放感に、亜梨紗はゾクゾクと体を慄わせた。
もう、止まらない。
冷たい指がするりと伸び、熱く火照った陰唇に触れた、瞬間。
「ひぁっ!」
亜梨紗は小さく悲鳴を上げ、淫らに体を慄わせていた。
甘美な痺れが火花のように爆ぜ、亜梨紗の体を貫いたのだ。
(凄い……こんなに、感じるなんてっ……!)
触れた指先を中心に、快楽の波がじんわりと広がり、亜梨紗の皮膚を浸食していく。弧を描くように陰唇をなぞると、くちゅくちゅと卑猥な水音が響くとともに、甘い痺れが渦を巻いて拡散していくのだ。まるで指の先から快楽を流し込まれているかのようだ。
たっぷりと溢れる淫蜜は、亜梨紗の秘裂を潤すだけにとどまらず、太腿の内側にまでべっとりと垂れ落ちている。元々、亜梨紗は愛液の分泌が盛んな体質なのだが、始める前からここまでぐっしょりと濡れているのは、さすがに珍しいことだった。
「ふぅっ、ふぅっ……んっ、あ、ふあっ……」
亜梨紗は熱っぽく吐息を荒げながら、しとどに濡れる陰唇を愛撫する。淫蜜に浸された陰唇はすっかり蕩けきっていて、少し力の加減を間違えば、指が奥まで潜り込んでしまいそうだった。これだけの変態行為に勤しんでいながら、意外なことに、亜梨紗は未だに純潔を守り抜いている。亜梨紗とて年頃の少女、自分の手で処女を散らしてしまうのは、やはり相当の抵抗があるのだった。
それゆえに、亜梨紗がより深く快楽を得ようとするなら、自然とその手はある一点に向かっていく。
「んっ……く、ひぁっ、んぁっ……」
蜜壷の入り口を撫でていた指が、秘裂に沿ってゆっくりと這い上がる。
快楽の源泉たる小さな蕾は、既にぷっくりと腫れ上がっていることだろう。陰唇を撫でただけでも、あれだけの快感があったのだ。女の体で一番敏感な部分に触れたら、一体どうなってしまうのだろうか。期待に胸が高鳴る反面、少しだけ怖いような気さえしてくるのだった。
だが、そのよじれた恐怖感が、さらに倒錯的な発想を呼び起こしてしまう。
(……いきなり、思いっきり摘んだりしたら……手加減なしで、思いっきり……)
頭をよぎる変態的な思いつきに、亜梨紗はごくりと喉を鳴らした。
亜梨紗が向かっているのはアパートの合間、狭苦しい空間に作られた、小さな児童公園だった。
公園の周囲は金網と街路樹とで囲まれており、道路からの視界が遮られている。この時間、人がいることはまずありえないし、アパートから見下ろされる心配もないだろう。街灯の真下にでも立たない限り、真っ暗な闇が亜梨紗の体を覆い隠してくれるはずだ。
亜梨紗の欲望を満たすには、まさにうってつけの場所なのである。
(ここなら、いくらでも……)
念のため、慎重にあたりの様子を確かめてから、亜梨紗は公園に足を踏み入れた。
昼間は子供たちの喧騒で賑わう公園も、今はひっそりと静まり返っている。いくつかの遊具と砂場、隅には簡素なあずまやがあり、入り口の傍には公衆トイレも設置されている。
興奮は最高潮に達していた。
肌という肌が粟立ち、身悶えしたくなるほどの痺れが全身を包んでいる。湧き上がる衝動が抑えきれない。もし許されるなら、亜梨紗は今すぐ地べたに寝そべり、大声で啼きながら淫らな行為に耽ることだろう。
今はまだ、辛うじて残った理性が、危険な衝動を押しとどめてくれている。しかし、これ以上我慢を続ければ、しまいには理性の箍がはじけ飛び、本当に取り返しの付かない行動に及んでしまいそうだった。
(……もうダメ、我慢できない)
あずまやの陰に身を潜めるや否や、亜梨紗はいそいそとダッフルコートに手を掛けた。
慄える指先で一つ一つ留め木を外していく。
コートの前をはだけると、涼やかな夜風が流れこみ、火照った肌を撫で付けてきた。
小さな胸の膨らみや、引き締まった腹筋、恥丘をうっすらと覆う陰毛、普段は衣服に隠されているはずの場所が、惜しみなく外気にさらけ出される。
(ああ、ヤバい……これだけでイッちゃいそう……)
途方もない開放感に、亜梨紗はゾクゾクと体を慄わせた。
もう、止まらない。
冷たい指がするりと伸び、熱く火照った陰唇に触れた、瞬間。
「ひぁっ!」
亜梨紗は小さく悲鳴を上げ、淫らに体を慄わせていた。
甘美な痺れが火花のように爆ぜ、亜梨紗の体を貫いたのだ。
(凄い……こんなに、感じるなんてっ……!)
触れた指先を中心に、快楽の波がじんわりと広がり、亜梨紗の皮膚を浸食していく。弧を描くように陰唇をなぞると、くちゅくちゅと卑猥な水音が響くとともに、甘い痺れが渦を巻いて拡散していくのだ。まるで指の先から快楽を流し込まれているかのようだ。
たっぷりと溢れる淫蜜は、亜梨紗の秘裂を潤すだけにとどまらず、太腿の内側にまでべっとりと垂れ落ちている。元々、亜梨紗は愛液の分泌が盛んな体質なのだが、始める前からここまでぐっしょりと濡れているのは、さすがに珍しいことだった。
「ふぅっ、ふぅっ……んっ、あ、ふあっ……」
亜梨紗は熱っぽく吐息を荒げながら、しとどに濡れる陰唇を愛撫する。淫蜜に浸された陰唇はすっかり蕩けきっていて、少し力の加減を間違えば、指が奥まで潜り込んでしまいそうだった。これだけの変態行為に勤しんでいながら、意外なことに、亜梨紗は未だに純潔を守り抜いている。亜梨紗とて年頃の少女、自分の手で処女を散らしてしまうのは、やはり相当の抵抗があるのだった。
それゆえに、亜梨紗がより深く快楽を得ようとするなら、自然とその手はある一点に向かっていく。
「んっ……く、ひぁっ、んぁっ……」
蜜壷の入り口を撫でていた指が、秘裂に沿ってゆっくりと這い上がる。
快楽の源泉たる小さな蕾は、既にぷっくりと腫れ上がっていることだろう。陰唇を撫でただけでも、あれだけの快感があったのだ。女の体で一番敏感な部分に触れたら、一体どうなってしまうのだろうか。期待に胸が高鳴る反面、少しだけ怖いような気さえしてくるのだった。
だが、そのよじれた恐怖感が、さらに倒錯的な発想を呼び起こしてしまう。
(……いきなり、思いっきり摘んだりしたら……手加減なしで、思いっきり……)
頭をよぎる変態的な思いつきに、亜梨紗はごくりと喉を鳴らした。
ある露出狂の記録 1-2
胸のうちに渦巻く倒錯した欲望は、昨日今日に始まったものではない。
彼女の記憶が正しければ、小学校に入る前にはもう既に、いやらしい一人遊びを覚えていたように思われる。年齢が二桁に達するよりも早くオーガズムの味を知ってしまったほど、亜梨紗の性的な成長は早かったのだ。
しかし、周囲の誰よりも早熟でありながら、異性に対する興味だけは全くと言っていいほど湧いてこなかった。飽くなき欲望はひたすら内側に、己の快楽を追い求める方へと向かっていったのである。
秘められた欲望を、亜梨紗は誰にも話すことはなかった。むしろ、自分のふしだらな本性を悟られないよう、その手の会話に加わることさえ避けてきたほどだ。それが結果として、亜梨紗の評価を高める一因となったようだ。本性を隠すための行動が、他の女子にはかえってクールに見えたというのだから、何とも皮肉な話ではないか。
誰にも見せたことのない、本当の自分。
それを今、亜梨紗は堂々と晒しているに等しいのだ。
(こんな格好、誰かに見られたら……私、どうなっちゃうんだろ)
亜梨紗はごくりと唾を飲み、被虐的な妄想に思いを巡らす。
もしも、誰かに見つかってしまったら。
赤の他人に見咎められ、冷ややかな視線を浴びせられる、それくらいなら別に構いやしない。
だが、知り合いとなれば話は別だ。
(もしかしたら……そこの角を曲がった向こうに、友達の誰かがいたりして)
十字路の手前で足を止め、闇の向こうに視線を送る。
もしも、あの細い路地の奥から、顔見知りの誰かが急に飛び出してきて、ばっちり顔を見られてしまったら。
きっとその人は、私のことを不審そうにじろじろと眺めるのだろう。冬物のコートに生足なんて格好で、おまけにフードまで被っているのだ、不審がられて当然である。そして私は訝られ、問い詰められ、ついには無理矢理コートの裾を捲られて――私の淫らな本性は、無惨にも曝け出されてしまうのだ。
被虐的な妄想に取り憑かれ、亜梨紗は思わず自分の体を抱き締めた。
(みんな、本当の私を見たら、どんな顔するかな……)
友人たちの顔を思い浮かべてしまい、亜梨紗は猛烈な背徳感に苛まれた。
しかし、被虐的な思考の連鎖は、とどまるところを知らない。
亜梨紗はその場に立ち尽くしたまま、さらなる妄想に思いを馳せる。
例えば、路地の向こうにクラスメイトの佳奈がいて、全てがばれてしまったら。
お喋りで下ネタ好きの彼女のことだ、きっと誰彼構わず言いふらすに違いない。噂はあっという間に広まり、学校中のみんなに知れ渡ってしまうのだろう。陰で笑われたり、からかわれたり、侮蔑の視線を向けられたりして、私はクラスから孤立する。それでも佳奈は、表面的には友達付き合いを続けてくれるのだ。でも、内心ではきっと私を見下し、軽蔑するのだと思う。
美穂ならどうだろう。
彼女には本気で軽蔑され、口もきいてくれなくなりそうだ。あの切れ長の瞳が、絶対零度の冷たさで私を見下す。誰にも口外しない代わり、徹底的に無視され、冷笑され、蔑まれる。私の前では二度と笑顔を見せてくれないかもしれない、そんな気さえするのだった。
後輩の雪奈なんかは、本気で泣き出すかもしれない。
偽りの私に惚れ、しつこいくらいに付き纏ってくるのだ。もしも本物の私を、変態露出狂少女としての仲山亜梨紗を見てしまったら、彼女はどう思うだろうか。憧憬の眼差しは一転、汚物を見るかのような侮蔑の視線へと取って代わり、容赦のない罵倒を浴びせられてしまうのかも。
(ああ、やば……ゾクゾクしちゃう……)
想像するだけで肌が粟立ち、寒気にも似た痺れが体の芯を突き抜ける。
無意識のうちに、亜梨紗の両手はコートの上を艶めかしく這い回っていた。
ささやかな膨らみを厚い布地ごと鷲掴みにし、力いっぱいに捏ね回す。同時に、固く尖ったしこりに爪を立て、グリグリと乱暴に掻き毟った。だが、コートの厚さが邪魔をして、思うような刺激が伝わらない。じりじりと痺れるような感覚がもどかしく、亜梨紗はたまらずコートの留め木に指をかけ――はっと、我に返る。
(え、うわっ、私何やって……!)
正気に戻った瞬間、心臓がドクンと跳ね上がった。
亜梨紗は慌てて身を竦め、素早く周囲に視線を走らす。
人の気配は皆無。夜道はしんと静まり返ったままで、街灯が不気味にアスファルトを照らしていた。家々の窓に明かりはなく、中から見られている心配もなさそうだ。
(バッカじゃないの、もう……ほんと、どうしようもない変態ね、私)
ほっと胸を撫で下ろした亜梨紗は、自分自身に毒づいた。
真夜中、人気のない住宅街とはいえ、あまりにも無防備に過ぎるだろう。こんな格好でうろつくだけでも危ない行為だというのに、道のど真ん中でコートを脱ぎ、堂々と全裸オナニーに耽ろうとしていたのだ。
(我慢しなきゃ……せめて、公園まで行って、木の影とかで……)
逸る心を懸命に抑え、亜梨紗は小走りで公園を目指した。
彼女の記憶が正しければ、小学校に入る前にはもう既に、いやらしい一人遊びを覚えていたように思われる。年齢が二桁に達するよりも早くオーガズムの味を知ってしまったほど、亜梨紗の性的な成長は早かったのだ。
しかし、周囲の誰よりも早熟でありながら、異性に対する興味だけは全くと言っていいほど湧いてこなかった。飽くなき欲望はひたすら内側に、己の快楽を追い求める方へと向かっていったのである。
秘められた欲望を、亜梨紗は誰にも話すことはなかった。むしろ、自分のふしだらな本性を悟られないよう、その手の会話に加わることさえ避けてきたほどだ。それが結果として、亜梨紗の評価を高める一因となったようだ。本性を隠すための行動が、他の女子にはかえってクールに見えたというのだから、何とも皮肉な話ではないか。
誰にも見せたことのない、本当の自分。
それを今、亜梨紗は堂々と晒しているに等しいのだ。
(こんな格好、誰かに見られたら……私、どうなっちゃうんだろ)
亜梨紗はごくりと唾を飲み、被虐的な妄想に思いを巡らす。
もしも、誰かに見つかってしまったら。
赤の他人に見咎められ、冷ややかな視線を浴びせられる、それくらいなら別に構いやしない。
だが、知り合いとなれば話は別だ。
(もしかしたら……そこの角を曲がった向こうに、友達の誰かがいたりして)
十字路の手前で足を止め、闇の向こうに視線を送る。
もしも、あの細い路地の奥から、顔見知りの誰かが急に飛び出してきて、ばっちり顔を見られてしまったら。
きっとその人は、私のことを不審そうにじろじろと眺めるのだろう。冬物のコートに生足なんて格好で、おまけにフードまで被っているのだ、不審がられて当然である。そして私は訝られ、問い詰められ、ついには無理矢理コートの裾を捲られて――私の淫らな本性は、無惨にも曝け出されてしまうのだ。
被虐的な妄想に取り憑かれ、亜梨紗は思わず自分の体を抱き締めた。
(みんな、本当の私を見たら、どんな顔するかな……)
友人たちの顔を思い浮かべてしまい、亜梨紗は猛烈な背徳感に苛まれた。
しかし、被虐的な思考の連鎖は、とどまるところを知らない。
亜梨紗はその場に立ち尽くしたまま、さらなる妄想に思いを馳せる。
例えば、路地の向こうにクラスメイトの佳奈がいて、全てがばれてしまったら。
お喋りで下ネタ好きの彼女のことだ、きっと誰彼構わず言いふらすに違いない。噂はあっという間に広まり、学校中のみんなに知れ渡ってしまうのだろう。陰で笑われたり、からかわれたり、侮蔑の視線を向けられたりして、私はクラスから孤立する。それでも佳奈は、表面的には友達付き合いを続けてくれるのだ。でも、内心ではきっと私を見下し、軽蔑するのだと思う。
美穂ならどうだろう。
彼女には本気で軽蔑され、口もきいてくれなくなりそうだ。あの切れ長の瞳が、絶対零度の冷たさで私を見下す。誰にも口外しない代わり、徹底的に無視され、冷笑され、蔑まれる。私の前では二度と笑顔を見せてくれないかもしれない、そんな気さえするのだった。
後輩の雪奈なんかは、本気で泣き出すかもしれない。
偽りの私に惚れ、しつこいくらいに付き纏ってくるのだ。もしも本物の私を、変態露出狂少女としての仲山亜梨紗を見てしまったら、彼女はどう思うだろうか。憧憬の眼差しは一転、汚物を見るかのような侮蔑の視線へと取って代わり、容赦のない罵倒を浴びせられてしまうのかも。
(ああ、やば……ゾクゾクしちゃう……)
想像するだけで肌が粟立ち、寒気にも似た痺れが体の芯を突き抜ける。
無意識のうちに、亜梨紗の両手はコートの上を艶めかしく這い回っていた。
ささやかな膨らみを厚い布地ごと鷲掴みにし、力いっぱいに捏ね回す。同時に、固く尖ったしこりに爪を立て、グリグリと乱暴に掻き毟った。だが、コートの厚さが邪魔をして、思うような刺激が伝わらない。じりじりと痺れるような感覚がもどかしく、亜梨紗はたまらずコートの留め木に指をかけ――はっと、我に返る。
(え、うわっ、私何やって……!)
正気に戻った瞬間、心臓がドクンと跳ね上がった。
亜梨紗は慌てて身を竦め、素早く周囲に視線を走らす。
人の気配は皆無。夜道はしんと静まり返ったままで、街灯が不気味にアスファルトを照らしていた。家々の窓に明かりはなく、中から見られている心配もなさそうだ。
(バッカじゃないの、もう……ほんと、どうしようもない変態ね、私)
ほっと胸を撫で下ろした亜梨紗は、自分自身に毒づいた。
真夜中、人気のない住宅街とはいえ、あまりにも無防備に過ぎるだろう。こんな格好でうろつくだけでも危ない行為だというのに、道のど真ん中でコートを脱ぎ、堂々と全裸オナニーに耽ろうとしていたのだ。
(我慢しなきゃ……せめて、公園まで行って、木の影とかで……)
逸る心を懸命に抑え、亜梨紗は小走りで公園を目指した。
ある露出狂の記録 1-1
煌々と月の照る夜。
仲山亜梨紗はこっそりと家を抜け出し、真夜中の住宅街を徘徊していた。
グレーのダッフルコートに身を包み、すっぽりとフードを被ったその姿は、見るからに怪しげな風体である。
なにせ季節はまだ初秋。肌寒い日も増えてきたとはいえ、冬物のコートを羽織るには一寸早過ぎる時期だろう。そのくせ、コートの裾からは見事な生足が伸びているのだから、寒がりだと言い張るのも無理がある。
こんな格好を人に見られたら、露出狂の類と思われても言い訳はできまい――いや、事実その通りではあるのだけれど。
「うぅ、寒っ……」
裾から入り込む風に素肌を撫でられ、亜梨紗は思わず身を竦めた。
それもそのはず、亜梨紗は今、分厚いコートの下には何も身につけていない、素っ裸の状態なのだ。ブラジャーやショーツすら付けず、コートの他は靴下とスニーカーを履いているのみ。何かの拍子にコートがはだけてしまえば、彼女の裸体を遮るものは何もない。
(やっぱ、タイツくらい履いたほうがいいかな……)
亜梨紗は胸元で腕を組み、ぶるりと体を震わせた。
しかし、この震えは寒さのせいだけではない。亜梨紗の肉体が期待と興奮に蝕まれ、淫らに昂っている証拠でもあるのだ。
ぞわぞわと粟立つ皮膚がコートに擦れ、身じろぎするたび、寒気にも似た痺れが柔肌を駆ける。コート一枚を隔て、生まれたままの姿で歩いている、これだけで亜梨紗はたまらない気分になってしまうのだ。
(ああ、気持ちいい……)
フードの奥に隠れた瞳は、既にうっとりと蕩けている。
もじもじと体をくねらせ、熱い吐息を漏らしながら、真夜中の住宅街を徘徊する少女。
仲山亜梨紗は、紛う事無き露出狂なのである。
もっとも、彼女自身は自分のことを露出狂だとは思っていない。人に裸を見られたいのではなく、見られるかもしれないというシチュエーションが好きなだけなのだ。本物の露出狂というのは、深夜こそこそと人目を忍んだりはしない。人通りの多い場所を際どい格好で歩きまわったり、通行人に裸を見せつけたりと、見られること自体に興奮してこそ、真の露出狂と言えるのではないか。
その点、亜梨紗は人に見られたいわけではないし、見せたことも、見られてしまったことも一度もなかった。ただスリルを楽しんでいるだけなら、まだ露出狂とは言えないだろう。何とも身勝手な理屈ではあるが、亜梨紗はそう思っているのだった。
ともあれ、百歩譲って亜梨紗が露出狂でないとしても、亜梨紗が変態であることだけは疑いようのない事実であった。
外見からは想像もつかないだろう。中性的な顔立ちにベリーショートの黒髪、胸のサイズも小さめで、パンツスタイルで街を歩くと少年に間違われることも珍しくない。目付きも少々キツめで、引き締まった体躯はしなやかな筋肉に包まれている反面、女性的な柔らかさには欠けるところがあった。
性格もサバサバしていて、色恋沙汰にはまるで興味を示さないし、下品な猥談に加わるようなこともない。学校では「クールな姐御」という印象がすっかり定着しているのだ。
おかげで同性からの人気は絶大だった。女子高に入学して一年半、告白された回数はそろそろ三桁に届こうとしている。毎週一通はラブレターを受け取るし、バレンタインデーともなると、下駄箱や机、ロッカーに至るまで、チョコレートの箱が溢れかえる有様。ついにはファンクラブまで結成される始末で、あまりの熱狂ぶりに正直言って辟易していた。
クールでカッコいい、学校の誰もが憧れる女生徒――これが亜梨紗の"表の顔"だ。
誰もが疑いもせず信じている、偽りの仮面。
その仮面を剥ぎ取れば、コート一枚で街をうろつく、とんでもない変態少女が潜んでいる。
(そう、これが本当の私……)
亜梨紗はうっすらと自虐的な笑みを浮かべた。
仲山亜梨紗はこっそりと家を抜け出し、真夜中の住宅街を徘徊していた。
グレーのダッフルコートに身を包み、すっぽりとフードを被ったその姿は、見るからに怪しげな風体である。
なにせ季節はまだ初秋。肌寒い日も増えてきたとはいえ、冬物のコートを羽織るには一寸早過ぎる時期だろう。そのくせ、コートの裾からは見事な生足が伸びているのだから、寒がりだと言い張るのも無理がある。
こんな格好を人に見られたら、露出狂の類と思われても言い訳はできまい――いや、事実その通りではあるのだけれど。
「うぅ、寒っ……」
裾から入り込む風に素肌を撫でられ、亜梨紗は思わず身を竦めた。
それもそのはず、亜梨紗は今、分厚いコートの下には何も身につけていない、素っ裸の状態なのだ。ブラジャーやショーツすら付けず、コートの他は靴下とスニーカーを履いているのみ。何かの拍子にコートがはだけてしまえば、彼女の裸体を遮るものは何もない。
(やっぱ、タイツくらい履いたほうがいいかな……)
亜梨紗は胸元で腕を組み、ぶるりと体を震わせた。
しかし、この震えは寒さのせいだけではない。亜梨紗の肉体が期待と興奮に蝕まれ、淫らに昂っている証拠でもあるのだ。
ぞわぞわと粟立つ皮膚がコートに擦れ、身じろぎするたび、寒気にも似た痺れが柔肌を駆ける。コート一枚を隔て、生まれたままの姿で歩いている、これだけで亜梨紗はたまらない気分になってしまうのだ。
(ああ、気持ちいい……)
フードの奥に隠れた瞳は、既にうっとりと蕩けている。
もじもじと体をくねらせ、熱い吐息を漏らしながら、真夜中の住宅街を徘徊する少女。
仲山亜梨紗は、紛う事無き露出狂なのである。
もっとも、彼女自身は自分のことを露出狂だとは思っていない。人に裸を見られたいのではなく、見られるかもしれないというシチュエーションが好きなだけなのだ。本物の露出狂というのは、深夜こそこそと人目を忍んだりはしない。人通りの多い場所を際どい格好で歩きまわったり、通行人に裸を見せつけたりと、見られること自体に興奮してこそ、真の露出狂と言えるのではないか。
その点、亜梨紗は人に見られたいわけではないし、見せたことも、見られてしまったことも一度もなかった。ただスリルを楽しんでいるだけなら、まだ露出狂とは言えないだろう。何とも身勝手な理屈ではあるが、亜梨紗はそう思っているのだった。
ともあれ、百歩譲って亜梨紗が露出狂でないとしても、亜梨紗が変態であることだけは疑いようのない事実であった。
外見からは想像もつかないだろう。中性的な顔立ちにベリーショートの黒髪、胸のサイズも小さめで、パンツスタイルで街を歩くと少年に間違われることも珍しくない。目付きも少々キツめで、引き締まった体躯はしなやかな筋肉に包まれている反面、女性的な柔らかさには欠けるところがあった。
性格もサバサバしていて、色恋沙汰にはまるで興味を示さないし、下品な猥談に加わるようなこともない。学校では「クールな姐御」という印象がすっかり定着しているのだ。
おかげで同性からの人気は絶大だった。女子高に入学して一年半、告白された回数はそろそろ三桁に届こうとしている。毎週一通はラブレターを受け取るし、バレンタインデーともなると、下駄箱や机、ロッカーに至るまで、チョコレートの箱が溢れかえる有様。ついにはファンクラブまで結成される始末で、あまりの熱狂ぶりに正直言って辟易していた。
クールでカッコいい、学校の誰もが憧れる女生徒――これが亜梨紗の"表の顔"だ。
誰もが疑いもせず信じている、偽りの仮面。
その仮面を剥ぎ取れば、コート一枚で街をうろつく、とんでもない変態少女が潜んでいる。
(そう、これが本当の私……)
亜梨紗はうっすらと自虐的な笑みを浮かべた。