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澱の中の二人 1-8

 奥深くに潜る二本の指を、熱く火照った肉襞がギチギチと締め上げてくる。痛みさえ感じるほどの収縮は、裏を返せば、この女が強欲に快楽を貪っていることの証左でもあった。

 やがて収縮は小刻みな痙攣を伴い、間もなく頂点に誘われようかという、寸前。

 俺は唐突に手を止め、濡れそぼる蜜壷からずるりと指を抜き取った。

「やぁっ……くぅ……」

 責め苦の余韻にわななく声は、心なしか、不満そうな色を帯びているようにも聞こえた。
 実際、蕩けきった膣口から滲み出る白く濁った淫汁が、彼女の感じた快楽の強さをまざまざと示している。興奮醒めやらぬ陰唇は、まだ物足りないと訴えるかのように、ヒクヒクと小さく震えていた。

「イキたいか、伊織?」

 俺は端的に問うた。

 伊織は答えを返さず、無言のまま息を整えている。もっとも、最初から答えなど期待はしていないし、答えを聞くまでもない質問でもあった。

 プライドの高い彼女にとって、寸止めは最も辛い責め苦となるだろう。理性がどれだけ足掻こうと、肉体の疼きを抑えきれぬのは、今までの反応を見れば自明のことである。どれだけ強靭な理性を誇ろうが、肉体の渇望に打ち勝つことなどできはしない。

 もちろん、好き勝手に肉体を弄ばれ、望まぬ絶頂を強いられるのも苦痛であるには違いない。しかし、それは単なる屈辱であるに過ぎず、嵐が過ぎ去るのを待つように、じっと耐え続ければよいだけのことだ。

 それに対し、内より湧き出づる肉欲の衝動と、すなわち自分自身と戦わなければならないことの困難さは、とても比較できるものではないだろう。例えるなら、閉ざした心の内側に忍び込み、頑丈な扉を溶かされてゆくようなもの。戦う前から結果は見え透いているのだ。

 無論、伊織はあっさりと降伏するような女ではない。それどころか、どんな責め苦でも耐え切れると思い上がっている節さえある。
 そんな生意気な女には、きっちりと思い知らせてやらねばならない。

 どれだけ強がろうと、所詮は一人の雌なのだということを。

「そうか、嫌なら仕方ない」

 俺は平然と嘯き、ぐっしょりと濡れた秘裂に指を這わす。
 先程までとは一転、丁寧に優しく愛撫してやると、待ち焦がれていた刺激に女陰が震え、さらに多量の蜜を溢れさせる。

「ふぁぁっ……あ、んん……」

 伊織の口から甘ったるい吐息がこぼれる。唸るような呻きはすっかり影を潜め、発情した雌の声色が見え隠れしていた。もはや声にまで気を配る余裕がないのかもしれない。
 俺は指を前方に滑らせ、陰唇の付け根に生えた尖った蕾を、軽く爪で引っ掻いてやった。

「ひゃうぅっ!」

 快楽の源泉を爪弾かれ、伊織は可愛らしい悲鳴を上げた。

テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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